▼97年3%→5%から始まったやまとの凋落
消費増税で何が起こるかが、知られておらへん
2018年末まで6年間、内閣官房参与として内閣府に在籍しとったんやが、消費増税を推し進める財務省のエライ強さを感じたんや。政府、国会、野党、学会とあらゆる領域に増税推進派が多数を占めとるんやけど、そやけどアンタ、そないな状況をつくり出したんは明らかに財務省。マスメディアにも大きな影響力を持ち、財界に対したかて、社会保険料の負担を軽減したり法人税を減らしたりするんとバーターで増税に賛成させるゆう形で影響力を使うておりますわ。

財務省の勝利の最大のポイントは、経済学者を押さえたことや。

学者が真実を語れば、それがメディアを通じて政治家と世論に伝わり、増税を止める状況をつもろたかもしれしまへんが、吉川洋（東京大学名誉教授）、土居丈朗（慶應義塾大学教授）、伊藤隆敏（東大・一橋大学名誉教授）といった主流派の経済学者がほぼ全員財務省の意向を汲んでおるさかいに、その意向に反するような情報はメディア上ではごくちびっとのちう状況が長く続きましたのや。データそのもんは政府が隠さんと公表しとったんやが、それをちゃんと加工して文句を伝えるゆう作業を、経済学者、エコノミスト、ジャーナリストがほとんど行ってこへんかったのや。

それやからか、実際に消費税率を上げたときに何が起こるんか、せやなかったら起きたんかについての基本的な事実が、世間にまるっきし知られておらへんのや。

実際にわての研究室で、エコノミストの島倉原はんとデータをさまざまに分析していく中で、「学者を押さえる」ちうことが、長期的にどれほど恐ろしい影響をもたらすかをまざまざと思て知ったんや。

いっちゃんはじめに、増税した瞬間に個人消費がほぼ増税分だけ減るんや。なんでやったら、家計の出費額はモノの購入と税金とに分けられはるが、今どき国民の可処分所得の金額は増税する前でも後でも別に変わらしまへんから、家計の出費額もそのまんま。やから、税金が増えればモノの購入額は必然的に減るんや。単純な話や。すると、実質的な需要が減ちう、必然的に売れるモノが減るわけや。

この短期的な影響以上に恐ろしいんは、消費の伸び率への影響や。知ってはるようにやまとのGDP（国内総生産）の半分から6割程度を個人消費が占めるわけやけど、そやけどアンタ、その消費の「伸び率」は、税率が3％から5％に、5％から8％に上がった際、増税前の半分になっとるのや。

図を見れば、消費税ゆうものが実質消費の伸び率をほぼほぼ規定してんことがクッキリとわかるんや。1997年に3％から5％、2014年に5％から8％に税率を上げたときの実質消費の伸び率が、ガクンと下がっとることがおわかりや思うで。08年のリーマンショックや11年の東やまと大震災のときそやけど、そないな「伸び率の下落」はまるっきし見られしまへん。消費増税が、GDP成長率に対する直接の大きな障害となっとることがようわかるんや。

消費増税のいっちゃんの懸念は、わてはここや思っとりまんねん。消費の伸び率が下がるゆうことは、単に目先の消費の減少にとどまらへんし、10年、20年と、時間が経てば経つほど消費の減少ちう被害が拡大していくことを意味するんや。
以下ソース
https://president.jp/articles/-/30039